Climate Policy Engagement Analysis
気候変動政策への関与・働きかけの概要: 日本電機工業会(JEMA)は、いくつかの気候変動・エネルギー政策に対して働きかけを行っているように見受けられる。1.5℃目標とした野心的な温室効果ガス(GHG)排出削減目標を支持しており、IPCCとある程度一致しているように思われる。JEMAはまた、再生可能エネルギー関連法を支持しているようにも見受けられる。しかしその一方で、エネルギー転換に対して後ろ向きな見解を示しており、火力発電の継続的な活用を後押ししている。
気候変動政策に関する表向きのメッセージ: JEMAは、気候変動政策に関して、限定的 で比較的積極的なメッセージを発信しているようにうかがえる。「グリーン商材の付加価値付け検討WG最終報告書」の中で、JEMAは1.5℃目標に沿った温室効果ガス排出削減を支持した。2025年1月に公表した第7次エネルギー基本計画案に対する意見ポジションペーパーにおいて、JEMAは気候変動にまつわる支援策や法律を支持したことがうかがえる。
気候変動関連規制への関与・働きかけ: JEMAは、気候変動関連規制、特に再生可能エネルギーに関して積極的に働きかけを行なっているように見受けられる。JEMAは、2024年6月に資源エネルギー庁に提出した「第7次エネルギー基本計画へのJEMA提言」の中で、風力や水力などの再生可能エネルギーへの移行を支援するための政府の介入の必要性を提唱した。また、同提言において、2030年度のエネルギー比率目標を表明し、再生可能エネルギー電源の再投資や事業継続を促す仕組みづくりを要請したようにうかがえた。
また、JEMAが2024年9月に資源エネルギー庁のエネルギー政策に関する「意見箱」に提出した1629432提言では、再生可能エネルギーに関する法規制を支持したことがうかがえる。具体的には、PPAの環境整備、次世代太陽電池の施策、風力発電の産業基盤の確立、水力発電の推進を支持した。
エネルギー転換に対するスタンス:* JEMAは、エネルギー転換に対して後ろ向きな見解を持っているように見受けられる。
2025年1月、JEMAはGX2040ビジョン(案)と第7次エネルギー基本計画(案)に関する2つの意見書を経済産業省に提出した。
GX2040ビジョンに対する意見書において、JEMAはアジア各国における火力発電の脱炭素化を支持したが、そのペースについては曖昧な部分があった。日本では、水力発電を GX 2040 ビジョンに含めるよう求めた。また、水素インフラを支持したが、完全な脱炭素化の必要性、使用目的、製造方法については明言しなかった。同時に、JEMAは火力発電も支持しているが、脱炭素化のペースや程度がIPCCのガイドラインに沿っているかどうかは不明である。
JEMAは、第7次エネルギー基本計画の意見書において、原子力の最大限の活用と、エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの比率を高めるシステムを支持した。また、水素やアンモニアのインフラ整備も支持しているが、完全な脱炭素化の必要性、用途、製造方法については明言していない。同時に、JEMAは火力発電も支援しているが、脱炭素化のペースや程度がIPCCのガイドラインに沿っているかどうかは不明。JEMAは、CCSへの支援を、化石燃料の使用率を増加または維持するための正当な理由として利用しているようにうかがえた。
2024年6月にJEMAが資源エネルギー庁に提出した第7次エネルギー基本計画に関する提言書の中で、JEMAは原子力と太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを含む再生可能エネルギーの導入加速を支持した。同時にJEMAは、CCS、水素・アンモニア混焼、バイオマス、BECCSといった技術の導入に言及し、エネルギーミックスにおける火力発電の役割の継続を支持した。しかし、IPCCが予測した燃料の種類や技術に沿った火力発電の役割の削減は、明確には支持しなかった。
※当該和訳は、英文を翻訳したものです。更新に時差がある可能性もあるため、和訳はあくまでも便宜的なものとして利用していただき、適宜、英文の原文を参照していただくようお願いします。
